世界初:視覚的にとらえたM87銀河のブラックホール

ブラックホールを視覚的にとらえるという歴史的な成果がEHT(Event Horizon Telescope)と呼ばれる国際プロジェクトチームから2019年4月10日に発表された。
世界の8つの電波望遠鏡を連動させ、200人もの科学者が連携した国際チームが世界で初めて写し出したブラックホールの画像である。
そもそも、光さえ脱出できないという”ブラックホール”を、視覚的に”見る”という本質的な問いに対して、科学者たちが答えを示したものだ(中央にあるブラックホールは見えないが、その周辺から抜け出して、はるばる旅してきた光をとらえた、国際チームが同時に会見した映像参照↗)。
「百聞は一見にしかず」という言葉の通り、この写真を見ることで、ブラックホールの存在が腑に落ちた人も多いだろう。

Scientists gave an answer to the essential question of “seeing” black hole, that even light can not escape from. Though you can not see the black hole in the center, you can see the light which had traveled all the way from the vicinity of the black hole.

ブラックホールを世界で最初に”見た”(理論的に予測した)のは、1915年11月25日に一般相対性理論を発表したアインシュタインだった。重力を時空のゆがみとしてとらえ、それを方程式(重力の方程式)に表した。約100年前、重力の方程式の特異点としてブラックホールの存在が予測されたわけである。

EHTによるM87銀河のブラックホールのシミュレーション映像

科学がこれまでに描いていたブラックホールの姿

その後、1919年5月29日の皆既日食の際に、太陽の重力で光が曲がることが観測されたことで、一般相対性理論の実験的確認が世界で初めて行われた。
これにより重力の方程式の正しさが証明され、その後の多くの観測でアインシュタインの重力の方程式の定数が正確に求められた。
最近では、2016年2月11日、LIGO(Laser Interferometer Gravitational Wave Observatory)が重力波の検出を発表した。
これは、重力波の直接の観測に成功したという発表であった。私たちが日常に感じている重力が、それぞれの物体が現れたその瞬間に力を及ぼしあうのではなく、物質の出現や質量の変化が、重力波と呼ばれるの波の振動として伝播して力を及ぼしあうというものだ。一般相対性理論で予測された重力波の伝播速度(光と同じ伝播速度)で重力が伝わるという事実が観測で確認された。
このような科学的検証を経て重力の方程式が正確に記述されるようになり、EHTは先だって、今回観測されたM87銀河のブラックホールのシミュレーション映像を示していた(シミュレーション映像参照↗)。

☟関連リンクはこちらから(リンク切れご容赦下さい)☟
NATIONAL GEOGRAPHIC
First-ever picture of a black hole unveiled 解説:ブラックホールの撮影成功、何がわかった?Wired
SCIENTISTS REVEAL THE FIRST PICTURE OF A BLACK HOLE 「ブラックホールの最初の画像」はこうして撮影に成功したBBC
First ever black hole image releasedVox
Here’s what our telescopes actually capture.